属性情報と遇有性情報
情報分析について、2月のエントリー「統計的な情報分析」以来、しばらく遠ざかっていたので、久しぶりに続きを書いてみたい。
■遇有性とは何か
「統計的な情報分析」では事実に関する属性情報の分析について述べた。物事はそもそも固有の属性をもっている。顧客には住所や性別があり、ライバル企業には固有の強みや弱みがある。それについて分析するのは当然だ。しかし、物事には属性情報以外にもう一つ重要な情報がある。遇有性にかかわる情報である。では、遇有性とは何か?
たとえば、ある家が鉄筋コンクリート製であるとか、4LDKであるとかいうのは、属性である。それに対して、その家が火事で焼けた、というのは決して属性ではない。火事で焼けることがその家の必然的な性質であったわけではないからだ。あくまでたまたま焼けたに過ぎない。つまり、偶然である。
しかし、そうは言っても、火事が起こったのにはそれなりに原因はあるはずだ。放火とか火の不始末とか。その意味で、事実を究明し、原因を明らかにすることができる。つまり、偶然的な連鎖であるとしても、そこには原因-結果の分析可能な連鎖があるのである。
つまり、家が火事になったのは、必然的はないが、全くの偶然でもない。このような必然性と完全な偶然性の中間領域を遇有性と呼んでおく。
物事の内的で固有な性質としての属性に対し、外的で付随的な事象としての遇有性。属性は物事の静的な状態を表すのに対し、遇有性は動的な状態を表すとも言える。動的な状態はまた、出来事と言い換えてもいいかもしれない。
■遇有性情報の重要さ
この場合、属性と遇有性は、相対的である。ライバル企業が突如予想もしない商品戦略に打って出た場合、その出来事性のゆえにそれは遇有的である。が、その後はその商品戦略がその企業を考えるときの前提的な固有性となるから、属性とみなされる。
そう考えると、実は重要な情報の多くが遇有的であることがわかる。属性情報は多くの場合情報システムの中に蓄積され、取り出され、分析される。確かに、それによって一定の意志決定が行われる。しかし、重大な意志決定はたいてい予想外の出来事にかかわる。あるいは、予想はしていたが本当に起こってしまったような出来事にかかわる。株価が急に下がる、売り上げが予想外に伸びない、突然のトラブルに見舞われる、等々。こうした時こそ、早急に情報を集め、事実を特定し、対策を取らねばならない。
それゆえまた、経営層の意志決定も多くは遇有的情報にかかわる。新たな経営戦略を考える場合、自社の情報システムから出てくる情報だけでは全然足りない。新たな市場の動向、他社の動き、国内情勢、国際情勢など、さまざまな遇有的情報を種々の経路で入手しなければ経営判断はできない。
■PDCAサイクルと遇有性情報
さて、以前「業務と情報、5つの視点」で、PDCAの視点からの情報定義について書いたが、それを思い起こそう。目的設定において目指すべきところを定め、Planでそのための業務プロセスを設計し、Doで実行、Check-Action(スモールサイクル)で実行を検証・修正、Check-Action(ラージサイクル)で目的と業務プロセス自体を見直す。これらのフェーズの中で、DoとCheck-Action(スモールサイクル)はおおむね属性情報の活用が中心となるのであった。
それに対し、目的設定、Plan、Check-Action(ラージサイクル)は遇有性情報の活用が中心となる。次にその点について見ていこう。


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