PDCAサイクルに見る遇有性情報と情報分析
「属性情報と遇有性情報」の続きである。情報には属性情報と遇有性情報があるのであった。PDCAサイクルのうち、目的設定、Plan、Check-Action(ラージサイクル)は遇有性情報の活用が中心となる。これについて踏み込んでみてみよう。
■PDCAサイクルにおける遇有性情報
まず、目的設定は言うまでもないであろう。ビジネス上何を目指すかというようなことが、自社の情報システムから出てくる情報だけで決定できるわけがない。ここでは情報が触発的に機能する必要があるが、それは消費者や社会の動き、経済や政治の動向など、刻々と変動する環境について、面談や伝聞、テレビや新聞、インターネットなど、あらゆるチャネルを通じて情報を得ることによって可能になる。
環境は動く。周りは刻々と変化する。情報システムに格納されている情報などたかが知れている。何を目指せばいいか、どこに向かっていけばいいかは、この刻々と変化する状況を的確につかまなければ、到底決めようがない。遇有的な情報の分量と正確さこそが、適切な目的設定を可能にするのである。ちなみに、こうした情報はまた多くが定性的でもある。(「定性的情報が果たす機能、文脈形成」)。統計的な定量情報も重要であるが、経営者が直感的な意志決定をする場合多くは定性的情報が決定的な役割を果たす。遇有的な情報と定性的な情報が触発的な役割を果たすとき、斬新なアイデアやビジネス構想を生むのである。
次にプランニングであるが、設定した目的をどのように実現するか構想する場合にも、遇有的情報が相応な役割を果たす。なぜなら、望ましい業務プロセスの在り方においても、常に新たな方法が求められ、革新が必要となるからである。同じ目的を達成するにも、より高品質な目的を達成するならなおさら、方法は常に変革されていかねばならない。ライバル企業や業界の動向、他業種における変革など、常にアンテナを張り、新たな動きをキャッチし、触発されて斬新な方法を生み出していかねばならない。その意味で、プランニングにおいても遇有的情報が重要な意味を持つのである。
そうしたわけだから、Check-Action(ラージサイクル)においても、遇有的情報は不可欠である。なぜなら、Check-Action(ラージサイクル)は目的設定とプランニングを見直すことだからである。いったん設定した方向性も、いつまでも適切とは限らない。市場も環境も刻々と変化するのである。であれば、その変化をキャッチし、それに適合するよう方向性を定めなおさなければならない。この変化をとらえるための情報が、遇有的情報なのである。
こうして、目的設定、Plan、Check-Action(ラージサイクル)は遇有性情報の活用が中心となるのである。情報システムからアプトプットできるような情報(属性情報)は、プランを実行し(Do)、それを検証・修正する(Check-Action(スモールサイクル))場面で中心的な役割を果たすにすぎない。もちろん、それも重要だ。それがなければビジネスの実体などないからだ。しかし、ビジネスの鍵を握るのは、やはり遇有性情報なのである。それこそが常に変化する市場の中で、不断の変革を可能にするのである。
以上、属性情報だけでなく、それにもまして遇有性情報が重要であることを見た。そこで次に、属性情報と遇有性情報の両方を考慮した時、情報分析とは何を意味しているのか見ていこう。
■情報分析とは何をすることか?
そもそも論になるが、情報を分析するとは、つまり何をすることなのだろうか? まず、わたしたちは常に何らかの文脈に身を置いている。ビジネスにおいて問題に直面していたり、新たな構想を練っていたり、その都度固有の現実のただ中にいる。それはつまり、何らかの意思決定と行動を迫られているということでもある。この文脈こそが情報分析の方向性を最初に決定する。(「情報の二面性、事実と解釈」)。
意志決定と行動は何もなしでできはしない。必要なのは事実である。事実をつかむことによってわたしたちは意志決定をし、行動をすることができる。(つまり、目的を設定し、PDCAサイクルを回すことができる)。
が、その「事実」というものは、原因-結果の連鎖という構造を持っていることをすでに見た。(「統計的な情報分析」)。つまり、何が起こっているのかということと、それがなぜ起こっているのかということ、この2つが合わさって「事実」となる。もちろん、両者は相対的である。ある結果に対する原因についても、さらにその原因を問うことができる。よくビジネスで「「なぜ」を5回問え」などと言われるのも、そういう意味である。その場合、1つ目の原因は、2つ目の原因から見れば結果である。
したがって、どこまで原因にさかのぼるかによって「事実」の範囲は異なってくるが、いずれにせよ、原因-結果の連鎖が「事実」を構成するのである。
かくて、情報分析とは、特定の文脈において、意志決定と行動を目的として、事実を把握すること、と言えそうである。では、「事実を把握する」とは何をすることなのか?


コメント