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2009年7月12日 (日)

日常レベルにおける遇有性情報の活用

「遇有的情報からいかにして行動を導き出すか」まで、遇有性情報の分析について見てきたが、まずはこのぐらいにしておこう。最後にビジネスという領域から少し離れて、日常的なレベルの行動について考えておきたい。

■日常レベルでの行動定義

目的設定、Plan、Do、Check-Action(スモールサイクル)、Check-Action(ラージサイクル)のうち、Do、Check-Action(スモールサイクル)は行動定義が明確になされ、情報もほとんどの場合定量的で属性的な情報としてあらかじめ決めておくことができるのであった。どんなプロセスで何の情報を使って何をするかが、明確に事前設計されている(されるべきである)わけである。

これは、ビジネスに特有なことである。プライベートな日常において、このように行動と情報を定義し、プロセスを設計することはふつうない。習慣化していることはあっても、あえて設計するようなことはあまりない。日々の習慣は特定の目的のために設計された行動プロセスとは違うのである。

むしろ、わたしちの日常において常に直面するのは、目的設定とPlanのほうである。たとえば、老後のことが不安になったとする。年金はどのぐらいもらえるのだろうか、介護はどうなるのだろうか、等々。そこで必要なのは遇有性情報である。たとえば、年金に関して近年社会保険庁や企業で起こったこと、国会で議決された年金改革案の内容、これからの年金制度の動向、等々の情報である。こうした情報をもとに年金にまつわる諸事実を明確にし、そこから自分の定年後の年金状況を予測する。

すると、支給額も低いし、そもそもそれさえまともにもらえるかどうかわからない、という結果が出たりするわけである。とすれば、このまま手をこまねいて見ているわけにはいかない。この結果をもとに、自分が取るべき行動を考えねばならないであろう。

まず、目的を見定める必要がある。当然、老後の収入を安定させて、安心できる生活を送れることが第一である。では、そのためにどれぐらいの収入があればいいのか。いろいろ試算した結果、現在の7割の収入があればいいということがわかったとしよう。それが目標となる。

そこで、次にプランニングである。現在の7割の収入を得るにはどうすればいいか。予想される年金額にいくら上乗せが必要で、それを稼ぐには現在の会社の雇用延長制度を使えば十分で、そのためには、現在の業務でさらに専門性を磨く必要がある、等々。そのように適切な手段を考えて、今後の行動計画を明確にするのである。で、あとは行動あるのみである。

■主体的に生きていくための目的設定とPlan

というようなわけで、わたしたちはここぞというときには、こんな感じで意志決定をし、行動をしていると言える。子供の教育、家の購入、健康問題、結婚など、いろいろな問題に直面した時、結局遇有的な情報を集め、それに基づき事実(原因-結果連鎖)を把握し、そこから自分が取るべき行動について目的設定とプランニングをし(あるべき原因-結果連鎖の仮説を立て)、行動する。それがわたしたちの日常の行動パターンであろう。それ以外は習慣化された行動であろう。

つまり、目的設定とPlanこそが日常生活の中心なのである。もちろん、その精度は大抵あまり高くない。企業が中期戦略を立案する場合のようにはいかない。しかし、わたしたちが市民として自ら主体的に生きていこうとするなら、たとえ精度が高くなくとも、自ら遇有的な情報を集め、事実を把握し、目的を定め、行動計画を立てて行動していくということは、不可欠なのである。

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